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寄稿

資産経営・公民連携首長会議にあたって



                                東洋大学教授・PPP研究センター長
                                根本 祐二

「豊かな公共 小さな政府 間をつなぐPPP」

という言葉を私はよく使っています。今までどおり、今まで以上に豊かになりたいという市民の気持ち、これ以上税金にも借金にも頼れないという行政の事情、両者を矛盾なく実現できるとすれば、それには行政、市民、民間がそれぞれの役割を責任を持って果たすPPP(公民連携)以外に道はないでしょう。特に、今まで市民が「豊かさ」を実感してきたハコものやインフラが老朽化している一方、社会保障費の増加で更新投資財源が大幅に不足するという客観的状況に対しては、PPPはきわめて有効です。東洋大学が応援してきた岩手県紫波町のオガールプロジェクトでは、図書館の集客力に注目して、周辺にレストランや居酒屋を誘致し、その地代収入を図書館の維持管理費に充てる「稼ぐインフラ」という考え方をとっています。市民が道路や橋を点検する道守の活動は全国に広がっています。東洋大学では、民間企業約30社を集めて省インフラ研究会を設けています。石油危機後、日本人は価格が高騰した原油を買うためにがんばったのではありません。買わないですむように知恵を出したのです。それが省エネです。省エネがなければ20世紀の日本はありませんでした。21世紀は省インフラの時代です。今までどおりのハコものやインフラが必要なのではなく、量を大幅に減らして逆に質を高める、そういう技術やサービスを今研究しています。もはや、「官か民か」という単純な二分論をしている場合ではありません。官でも民でも市民でも適した役割を果たす、そういう時代に入っています。首長会議に参加されている皆さんを通じて、全国に広がっていくことを期待しています。